長谷川 俊英         家計の見直し相談センター


by seikatsu4

ベーシックインカムとマイナス所得税と最低賃金と③

3) ベーシックインカムの場合

 マイナス所得税が、今の社会保障制度の欠陥を補完するものであるのに対して、ベーシックインカム (以下、BI) は 「生活していくのに最低限必要なお金を(例えば月5万円とか月8万円)国民全員に配る」 という社会のあり方を変えてしまうかもしれない仕組みですので、まだ世界でも実施している国はありません。

 しかし、BIの理念は200年も前からあるもので、現在では世界的なネットワークで議論がされています。日本でも昨年あたりから注目されるようになってきたようで、元ライブドア社長の堀江隆文さん、書評家の小飼弾さんなどが言及されています。また昨夏の衆院選では新党日本のマニフェストにも掲げられていました。

 BI導入の最大のネックは、多くの方が感じられるように、年間数十兆から百兆円以上に上る財源の問題と働かない人が増えるではないかという勤労意欲への悪影響の問題です。この2つの問題が大きすぎるために、BIはまだ発展段階の議論となっているのでしょう。支給額も一人当たり月5万円から8万円、ドイツの経営者は月15万円と言っていますし、財源も所得税を一律50%とか消費税40%、相続税100%などいろいろな案が出ている段階です。

 一方では、有識者といわれる方から注目を集めているように魅力的なメリットがあります。
・ 働くことができなくなった時でも、最低限の生活が確保できる。
・ その安心感により、起業や夢に挑戦したり、農業や介護、NPOに
  携わるなど多様な生き方を選択できる。
・ 少子化対策になる。
・ 児童手当、子育て手当て、基礎年金、生活保護の支出を移行できる。
  そのため生活保護認定などの行政コストを削減できる。
・ 貧困による犯罪や教育の格差をなくすことができる。
・ トイレ清掃や交通整理など3Kの賃金の上昇が期待できる。
・ 企業側からは、輸出産業などで最低賃金を引き下げることができるようになる。
  また終身雇用の縛りが緩くなることが期待できる。


 私としては、多様な生き方が選択できるようになることに魅力を感じていて、日本の活力UPにつながることを期待しています。

 社会保障制度の進んだドイツでは、全欧規模でドラッグストアを展開する経営者のゲッツ・W・ヴェルナー氏がドイツの全国紙にBI導入の意見広告を打ったり、著書を発行するなど積極的に活動しています。以下に、彼の著書から印象的な一文をご紹介します。

 私たちの社会は、一人でも多くの市民を社会的セーフティネットから排除しなければならないほど貧しいのだろうか?生産性はつねに上昇しているにもかかわらず、私たちはもはやそれに気づかなくなっているのだ。・・・(ベーシックインカムの導入によって、)誰もが、生存の心配から解放されて自由な市民として活動し、同時に自分自身にとって有意義と思われる仕事をすることができる。そうなれば、オートメーションは祝福すべきものとなる。なぜなら、従来人間の手によってなされてきた労働がコンピューター制御の自動機械に代わられても、それは新たな失業を意味しないからである。
 ベーシック・インカムはむしろ自由な空間をつくりだす。すなわち、多くの非営利経済部門の、文化的な課題が財政的に可能になる。多くの新たな社会参画のかたちが生まれるであろう。

  (「ベーシック・インカム 基本所得のある社会へ」 ゲッツ・W・ヴェルナー著)

 次回は、最終回として、BIの財源を試算します。

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by seikatsu4 | 2010-01-25 12:41 | 思考錯誤